10月19日に行われたトヨタアルバルクVSオーエスジーフェニックス東三河の試合をテレビで観戦しました。以下レポートです。
■試合内容
序盤、トヨタはOSGのマッチアップゾーンを崩せず苦しい展開が続く。ゴール下にエスティルを置き、大型選手が激しくボールマンにプレッシャーをかけるOSGのディフェンスに、トヨタはアウトサイドから楽にシュートを打つことが出来ない。大型センターのいないトヨタはポストを立てて起点を作ることもできず、ハーフコートではドライブからパスアウト→アウトサイドシュート→リバウンドからのセカンドチャンスくらいしか攻め手がなかった。
一方のOSGは、ハーフコートオフェンスで攻めようとする両外国人選手と、速攻からのアウトサイドシュートという、昨年からのオフェンスパターンを継承する日本人選手とのスタイルの違いがあったように感じた。それ故かコート1/4での2メンオフェンスでは機能していたが、速攻ではエスティルが走らないためリバウンドを取ることができず、単発でオフェンスを終えることになってしまい、シューター、特に川村はリズムを掴むことに苦労していたように見えた。
ゲームが動いたのは、3Q残り3分40秒からだった。42-43、OSG1点リードの場面、トヨタ岡田からローポストオバノンへのパスをOSGホーキンスがスティール、速攻から川村がバスケットカウントで42-46の4点差。これでOSGに流れが傾くかと思われたが、トヨタボールでキャンベルがドライブを仕掛けたところ、一瞬OSGディフェンスがキャンベルに目を奪われて収縮してしまい、空いたスペースに走りこんだ高橋にボールが渡り、飛び出したエスティルから冷静にファウルをもらった高橋がバスケットカウントで45-46の1点差に戻した。差は縮まらない。
大口を振り切ったキャンベルにホーキンスと桑原が詰める
クロスオーバーで左に動いたキャンベルが渡邉にパスを出すと読んだ川村と桑原が飛び出すが、ボールは走りこんだ高橋へ
しかし3Q残り3分15秒、当たりの出始めたOSG川村が3Pを入れて45-49。川村はさらにキャンベルからスティール、一人で持ち込み3Pを入れて45-52の7点差と思いきや、わずかにラインを踏んでいたため2Pとなり45-51。差を6点に広げたOSGは気持ちの緩みが出てしまったのかディフェンスが甘くなってしまい、それをトヨタ岡田が見逃さず3Pを入れて48-51。さらに速攻から岡田の連続となる3Pで51-51の同点に。
3Q残り2分15秒、OSG川村が個人技で強引にシュートを打つがミス。リバウンドを取ったトヨタが速攻、渡辺が3Pを落とすも、足の止まったOSGはボールを見ているだけで動けず、トヨタオバノンがリバウンドを取りそのまま入れて53-51と逆転。残り1分38秒のTVタイムアウト後、トヨタは渡邉に変えてベテラン佐久本を投入しOSG川村を徹底マーク。これが奏功したのか川村は連続でシュートを落とし、3Q残り1分17秒、トヨタ岡田が迷わず3Pを沈めて56-51。直後、OSGホーキンスから川村へのスローインをキャンベルがスティールしてそのままレイアップで58-51。7点差で3Qを終えた。
4Qに入ると途中出場のトヨタ佐久本がオフェンスリバウンド、ブロックショットなど攻守に貢献し最大15点差まで開いたが、OSGも川村、北郷の3Pで応戦。しかしOSGは疲れが出たのかディフェンスが緩くなり、途中休んだオバノンらに得点され点差を縮めることができない。OSGはエスティルに代わって入った太田の個人技などですがりつくも、トヨタに時間を使われて追い上げることが出来ず、最終的には80-71の9点差でトヨタが勝利した。
■感想
OSGのセンターを勤めるエスティルは、身長は205cmと大きくは無いですが体重が115kgと重く、体の幅も広く手も長いので、センターとしてはとても恵まれた体格の持ち主です。しかし、膝が悪いせいかあまり熱心にディフェンスをせず、速攻も走らないので、とにかく走ってシュートを打つというOSGのスタイルにフィットしているのかどうか疑問でした。OSGとしてはこれまでの走るスタイルを継承するのか、エスティルに合わせたハーフコートスタイルにするのか、それとも局面によって使い分けるのか、明確な方針を打ち立ててスタイルを確立しないと上位進出は難しいでしょう。
一方のトヨタは意外にもマッチアップゾーンに弱い面が見えました。サイズの大きなポストマンがいれば起点も作りやすいのでしょうが、200cmを超える選手がオバノンしかいないので仕方ないのかもしれません。また、身長が低い分必然的に運動量も増えるので、適度に休憩させないと疲労が蓄積し、この先ボディブローのように効いてくるかもしれません。ベンチプレーヤーの活躍が期待されます。
競った試合でなかなか見ごたえがあったのですが、ひとつだけ残念なことがありました。1Q、ボールマン古田をしぶとくマークしていた川村の顔面に古田の肘が入ってしまうというアクシデントがありました。レフェリータイムが取られたのですが、怒り狂ったOSGの中村監督はコートに入って両手でバンバンフロアを叩き、ゴメスのようにジャンプして両足で何度もフロアを踏みつけながら猛抗議していました。熱くなるのは悪いことだと思いませんが、革靴でコートを何度も踏みつけたり、プレー中に何度もコートに入ったりという行為には気分を害されました。子供も見ていることですし、中村監督にはもうちょっとマナーを守るようにしてもらいたいです。