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■ 第2Q

川崎は藤井、野本、スパングラーという機動力重視の布陣でスタート。その野本がファーストアタックで渡邉とのミスマッチを着いて先制点を挙げる。

しかし、オンザコート2になった栃木のインサイドは厚く、ギブスとロシターがリバウンドを取り、次々とセカンドチャンスを決める。

シュートが決まらずリバウンドも取れない川崎。藤井がレフェリーにファウルアピールしている隙に、田臥がボールをプッシュし速攻に走る。川崎の北HCが藤井に早く戻れと声を飛ばすも伝わらない。昨年のNBLファイナルのシーンが頭をよぎる。

プレーオフの大舞台ではあまりに歓声が大きく、ベンチの指示はコートまで届かない。ましてファイナルともなると選手同士の声も伝わらない。タイムアウトを取れる回数は限られているのだから、選手自身が考え、集中し、コミュニケートしてプレーを組み立てなければならない。

だが、川崎は若いチームということもあり、自分たちのパターンにはまらないと落ち着いてプレーできないことがある。僕の緊張はなおも続き、息をすることさえ苦しかった。

同点で始まったこのクォーター、栃木は古川の活躍で5点のリードを奪い、32-27でオフィシャルタイムアウトに入る。

タイムアウト明け、川崎はスパングラーに変えてファジーカスを投入。しかし、彼のシュートはまたもリングに弾かれる。逆に栃木はロシターとギブスがディフェンスのずれを作り、そこに田臥がパスを通して、インサイドで易々とシュートを決める。

リードを7点に広げた栃木は、田臥が川崎のガード陣を崩しにかかる。藤井をファウルトラブルに陥らせてコートから追い出すと、代わって入った篠山を1対1でかわしてレイアップを沈める。

川崎は終盤に入って、ようやくファジーカスのインサイドアタックが連続で決まる。なんとかもう一本決めて流れをつかみたいと思った矢先、栃木はギブスのスティールから古川の速攻で33-40とし、またも点差を7に広げる。残り1分21秒、川崎がタイムアウトを要求する。


北HCの檄が飛ぶ。「分かる?相手の強みを出してるのは自分たちだよ。そこを止めないと。いいか?絶対大事だよ!リバウンドからトラジション、ハリーバック、そこにしっかりフォーカスしなさい!」

タイムアウト明けも栃木は古川の3Pシュートで点差を広げるが、川崎はファジーカスが2本のフリースローを決めてなんとか6点差に戻し、37-43の栃木6点リードで前半を終える。

第3Q」に続く