■ 第1ピリオド

篠山のスティールからママドゥがダンクを決めて先制。アイシンも比江島がペネトレイトからレイアップを入れ返す。この日東芝・辻にマッチアップしたのは橋本。べったりとマークして動きを封じると、開始87秒で辻を2ファウルに追い込みベンチに下がらせる。雄たけびを上げる橋本、盛り上がるアイシンベンチ。

しかし、東芝が辻に代えて藤井が投入したことで流れは一変する。比江島にマッチアップした藤井は、スクリーンをかけられても比江島を逃がさず執拗にマークしボールを持たせない。アイシンのリズムを狂わせた東芝は、篠山のスティールからファジーカスの速攻につなげて同点に追いつき、さらに長谷川のスリーで7-10と逆転する。

シューターの金丸と比江島が徹底マークされたアイシンは、バッツがインサイドで踏ん張りゴール下で得点を重ねる。しかしバッツがファウルトラブルでエドワーズに代わるとチームディフェンスにほころびが出て、ゴール下でフリーになったファジーカスに楽々と連続得点されてしまう。

終盤に足が止まってボールが回らなくなったアイシンは、インサイドアウトから外の攻撃しかできない苦しい展開。それでも橋本と比江島がスリーを決めて21-25と追いすがり、東芝4点リードで第1ピリオドを終える。

■ 第2ピリオド

アイシンは桜木に代えて高橋マイケルを投入。東芝は長谷川に代わって栗原が金丸を徹底マークする。両チーム激しいディフェンスでタフショットを打たされる展開になり、開始2分半を過ぎても得点が動かない。

均衡が破れたのは2分半を過ぎてから。東芝は山下がフリーでジャンプショットを決め、ブッチのオフェンスリバウンドから藤井がスリーを沈めて残り6分45秒に21-30と点差を広げる。

局面を打開したいアイシンは比江島に代えて長谷川を投入し、バッツとエドワーズのツインタワーで起点を作ろうとする。これが奏功したか、立て続けに東芝・ブッチにファウルさせてコートから追い出す。これで流れが変わるかに思えたが、東芝は山下が連続スティールして得点に繋げ、アイシンに流れを渡さない。

終盤、足が止まりチームオフェンスが機能しないアイシンは、エドワーズがポストムーブからインサイドで得点を重ねるが、外のシュートが入らない。一方、ボールがよく回る東芝は、スティールからの速攻、長谷川とファジーカスのスリーで残り1分50秒、25-40と点差を15に広げる。この点差が縮まることはなく、東芝15点リードで前半を終了する。

■ 第3ピリオド

東芝は辻をコートに戻す。アイシンは再び橋本が辻を徹底マークするが、それぞれが自分のマークマンに集中しすぎてチームディフェンスが崩壊する。攻めても東芝のヘルプディフェンスを崩すことができず、単調な攻撃はことごとくリングに嫌われる。

これに乗じた東芝は、ファジーカスのゴール下の合わせ、長谷川のペネトレイト、篠山のバンクショット、辻の速攻と多彩な攻撃で得点を重ねる。開始3分を過ぎたところで30-48と点差が18に開き、アイシンがタイムアウトを要求。

タイムアウトが開けてもアイシンは東芝の執拗なディフェンスを振り切ることができず、苦し紛れのショットはリングに嫌われる。オフェンスで体力を使ったアイシンは、ディフェンスで足が動かず東芝の動きについていけない。東芝はピック&ロールからの辻のレイアップ、辻とママドゥの2メンプレー等で20点リードをキープする。

終盤に入ってもアイシンはバッツのインサイド攻撃以外に活路を見いだせず、東芝の5ファウルで得たフリースローもすべてを決めきることができない。ボールが回らずフラストレーションの溜まったアイシンは、長谷川がファジーカスに肩がぶつかったとつっかける等、次第に荒れ始める。このピリオドは常に主導権を握った東芝が42-63と21点リードして終える。

■ 第4ピリオド

選手をめまぐるしく入れ替えて激しさの落ちない東芝のディフェンスに対し、アイシンはシュートを打てず24秒が過ぎる。集中力の途切れない東芝は、このプレーオフで当たりがなかったブッチがスリーを沈めると、ベンチもファンもさらに盛り上がる。一方アイシンは開始3分近くになっても4点しか得点できず、タイムアウトを要求する。

タイムアウト明け、スペースを広く使ってボールを回すアイシンだが、東芝・山下がまたもスティール。攻撃をシュートで終わることができない。ボールが回らなくなったアイシンは、エドワーズが個人攻撃で得点するも単発に終わる。逆にボールがよく回る東芝は楽にシュートを打てるようになり、ファジーカスのスリーで48-74と大量リードを奪ったところで残り5分を切りオフィシャルタイムアウトへ。

タイムアウト明け、アイシンは最後のチャージを見せるが東芝にコントロールされ時間が無情に過ぎていく。東芝は市岡のパスをカットしたファジーカスがゆったりとダンクを決め52-80とし、残り2分半を残してすでに完勝ムード。ファジーカスをベンチに下げる。

日本人だけになった東芝に対し、アイシン・エドワーズはうっぷんを晴らすかのようにブロックショット、ダンクを決めてチームを盛り上げるが時すでに遅し。最終的には60-82で東芝が勝利し、優勝へ逆王手をかけた。