先日こんなことがあった。
子供が通っている保育園で遠足に行った際、駅で一人の子が電車とホームの隙間に落ちてしまった。幸いにして背負っていたリュックが引っかかって線路まで落ちることはなく、傍にいた先生がすぐに引っ張り上げ、子供に怪我もなかったそうだ。
園ではこのような事故が起こった際には、すぐにクラスの保護者全員に「本日こういうことがありました。ご心配をおかけしてすみません。園としては再発防止に努めます。また園では、このようなことが起こった際にはすぐに対応できるよう、対策を講じておりますのでご安心ください」といった第一報を入れるのがセオリーだった。
その理由は、保護者の間に尾ひれの付いた噂が広まって、園に対する不信感がつのることを防ぐためだ。園は危機管理としてそうなる前に手を打つべきだった。ところが当日、園から保護者には何も知らされなかった。
クラスの保護者に報告があったのは10日以上経ってからのことで、園全体へのアナウンスはさらに1週間経った後に文書で行われた。御座なりの謝罪と「電車に乗る際には皆さんもお気を付けください」と他人事のような文面だった。
結果、保護者の間で「自分の子のクラスでそんなことがあったなんて全然知らなかった」「隠していたのか?」「なんで今頃?」「落ちた子のケアは大丈夫なの?」と騒ぎになり、園長に対して説明を求める声が保護者から多数上がった。
保護者の問い合わせに対する園長の対応は言い訳ばかりだったそうだが、要点を整理すると、アナウンスが遅れたのは職員で話し合ったが意見がなかなかまとまらなかったから、とのことだった。子供が電車とホームの間に落ちたことに関して、「一大事だ」「いや、大げさにするほどのことでもない」等と意見が割れたらしい。
園には若い先生もいればベテランの先生もおられ、それぞれの持論があるようで、職員の考え方や方向性がまとまっていないようだ。さらに酷いことに、園長の説明を別の先生が否定するなど混乱は増す一方だった。
僕はそれを聞いて、保育園は子供を守り保護者を安心させることが最優先されるべきのはずなのに、先生は自分の意見ばかり言ってまとまろうとせず、勝手だなあと思った。園長は自分の考えをしっかりと押し通してくれたらいいのに頼りないなあ、統率能力がないなあとも感じた。
同時に、最近どこかで聞いたような話だなあとも思った。そう、JBAとNBLとbjリーグの話し合いの件である。
JBAに対するFIBAからの制裁の件については、僕が知っている限りこの20年で最大とも言える規模でマスコミに取り上げられ報道されている(本当はこの時点で大きく報道して欲しかったのだが、今取り上げてもらえているだけでもありがたいと思わなければ)。だからバスケに詳しくない人でもご存じのとおりである。
FIBAが何年も前から改善を求めてきたのは、「JBA のガバナンス強化」「男子日本代表チームの強化」「統一リーグ問題」の3つ。1つ目2つ目はクリアできそうだが、誰もが知っている通り3つ目がどうにもこうにもならない。
JBA、NBL、bjリーグの代表はそれぞれ、「制裁の早期解除に向けて全力を尽くす」「JBAと協力して資格停止解除に向けて尽力する」「一刻も早い制裁回避に向けて最大限の努力をしたいと思っている」と言ってはいるが、同時に「話がまとまらなかった(から話し合いをやめた)」「組織委員会が延期、中止を突然言ってきた(俺の責任じゃないよ)」「提案が受け入れられなかった(から話し合いをやめた)」とも言っている。お前らホンマにやる気あんのか!?と言いたくなる。
僕は個人的に、「統一リーグ問題」の一番の問題点は誰が何を主張しているのか外部から全く分からないことだ、と思っている。誰が何を主張していて、なぜそれらをまとめることができないのかが全く見えてこない。全ては藪の中でゴニョゴニョ行われていて、選手やファンは「国際試合できないけどごめんなー」と結果だけを投げつけられている。こんなことが許されていいはずがない。
悲しいことに、我々ファンや(競技者登録をしている子供たちも含めた)選手たちは、保護者が園長に対して意見をを直接ぶつけるように協会やリーグに対して怒りをぶつけることができないし、個々の先生を捕まえて一人一人の考えを聞くようにチーム代表の意見を聞くこともできない。一番の被害者が完全に蚊帳の外になっており、この状況はずっと打破できていない。
だからマスコミやジャーナリストの皆さんにお願いしたい。協会やリーグ代表の会見ばかりでなく各チームの代表者に取材して発信してもらいたい。それぞれが何を主張していてなぜ話がまとまらないのか、原因を日の下に晒してもらいたい。
かつていすゞ自動車のバスケットボールチームが廃部になったとき(だったと思うが)、月刊バスケットボールではプロ化問題について特集が組まれた。JBLのチームの代表者やプロアマ選手にインタビューして、まとめて記事にされていた。今はネットを主体に活動しているジャーナリストも増えていることだし、当時に比べればいろんな見方の取材ができるはず。是が非にでもお願いしたい。
少なくとも僕達は、責任を擦り付け合いながら流会を繰り返している方々や、選挙の票目的で介入しようとする議員さん方より、はるかに真剣に日本のバスケットについて考えている。つくばや和歌山のことも含めて自分達に何ができるかを見つけて行動するために、少しでも多くの正確な情報が我々には大至急必要なのだ。
うちの子供が所属しているミニバスチーム出身の子が日本代表候補に選ばれたと喜んでいた矢先のこの制裁。何年も前から分かっていたことなのに、何もできなかった自分にも責任はある。未来ある子供たちのために、まずは僕達大人が行動しなければならない。
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