ついに本日、今年のオールジャパンを勝ち進んだ男子4チームが激突する。13日に行われる決勝戦のチケットを手にするのは一体どのチームなのか。独自の目線で検証してみる。
■アイシンシーホース三河 VS トヨタ自動車アルバルク東京
NBLウエスタンリーグ1位、24勝2敗の9割を超える勝率を誇るアイシン。今シーズン獲得した金丸、比江島に加えてベテランの柏木というバックコート陣が非常に強力。しかし、長年にわたってチームの柱として君臨してきた桜木は37歳を迎え運動量が落ち、以前なら必ず決めていたシュートも出場時間が長くなると落とすようになってきた。
桜木のバックアップとして期待される市岡は、ゴール下で貢献するもシーズンMVP男桜木には実力で及ばず、その負担はヤングやエドワーズといった外国籍選手にかかってくる。ゴール下の強さはあるものの運動量がそれほど多くないヤングにこの負担はきついが、最近好調のエドワーズがそれを補っている。
一方のトヨタは激しいディフェンスからの速い攻撃という、豊富な運動量を生かした攻守が武器。シーズン序盤はリッチーが戦線離脱したものの、その穴をウコウスキが見事に埋めて相手チームにアドバンテージを感じさせなかった。現在16勝8敗でイースタン2位に位置し、東芝とアイシンに負け越しているものの、取りこぼした日立戦、栃木戦はいずれも僅差の敗北だった。
オールフォワードタイプに近い形で、全員が良く動きアウトサイドシュートの確立も高いトヨタの懸念材料があるとすればファウルトラブル。激しいプレッシャーディフェンスからディフェンスファウルを取られることがあり、それがゲームを不利な方向に持っていってしまうことがある。特に菊池はゲームの勝負どころで不要なファウルを犯してチームを苦境に立たせることがあるので注意すべき。
ハーフコートオフェンス主体で、ゲームが終わった時に1点多く取っていればいいというコントロール型のアイシンと、豊富な運動量で徹底的にプレッシャーをかけるトヨタ。シーズンではアイシンが2勝しているが、トヨタもリベンジに燃えているはず。この一発勝負でどう相まみえるか見ものである。
■和歌山トライアンズ VS 東芝ブレイブサンダース神奈川
昨年のオールジャパンを制したパナソニックの選手が半数を占める和歌山。とはいえ、広瀬も大西もワトキンスもいなければHCも戦術も違うチームであり、比べること自体がナンセンス。川村、内海といった強力なシューターも加わり、全く新しいチームと考えるのが妥当なことは間違いない。
オンザコート1になった時の和歌山のパターンは主に2つ。インサイドにリカートと根来が入るパターンと青野とパーカーが入るパターン。どちらもセンターをしっかりと置いて、ガードとフォワードを動かしていくという、わかりやすい形だ。リカートはインサイドが非常に強い選手だがシュートレンジが狭い、青野は比較的シュートレンジが広くインサイドも強いが運動量が少なく、それをパーカーが補えるということが組み合わせの理由だろう。
シーズン開始当時にはチームとしてのまとまりがあまりなく、ジェリコHCの采配にも疑問を感じることが時々あったが今は違う。ポイントゲッターである川村がゲームをコントロールし、自分を押さえてパスを出すようになってから劇的にまとまりが出てきた。それ故負担の減ったベテラン木下が、持ち前の運動量と要所での決定力でチームを締めることができている。非常にいいチームに成長している。
対する東芝は、今シーズンもっとも補強に成功したチームだろう。ボーズマン、大西、平尾、鎌田と強力な選手を獲得したことで、チーム編成に非常に多くのオプションをもたらしている。また、北HCはシーズン当初から選手全員にバランス良く出場機会を与え経験を積ませることで、選手の負担を減らしチームの底上げをすることに成功している。層の厚さで言えばNBLナンバーワンだろう。
東芝のウィークポイントがあるとすればメンタル面。2敗した1つの栃木戦や、兵庫戦のゲーム2、東海大戦のように、リードされていてもいつかひっくりかえせるだろう、ファジーカスがいるから大丈夫だろう、という気の緩みが出てくると取り返しのつかないことになる。
和歌山対東芝のゲームの注目点は、どちらが先に主導権を握るか、その主導権を離さずにいられるかということだ。和歌山としては先に主導権を握り、チームプレーで士気を高めつつ東芝に精神的ダメージを与え、焦らせてファウルトラブルに陥らせてそのまま逃げ切るというプランが考えられる。一方の東芝は、しっかりディフェンスして、ファジーカスを軸に良いタイミングでシュートを打つという、自分たちのプレーをしっかりやるだけ。加えて青野、パーカー、川村をファウルトラブルに追い込めれば、より有利にゲーム展開できるだろう。
どちらもNBLのシーズン中には見られない、非常に面白い戦いになることは間違いない。現地で観れるものなら観たかった、ううう・・・