新リーグ開幕と言っても蓋を開けてみればこれまでとほとんど変わりの無いJBL。しかし、その試合内容のレベルはこれまでよりもはるかに高く、非常に見ごたえのあるシーズンとなりました。TBS衛星が中継を始めてくれたこともあり、例年になくたくさんの白熱したゲームを見ることができました。OAされたほとんどのゲームをテレビで観戦し、僅かですが試合会場にも足を運びました。その中から感謝の意味を込めて(何も出ませんが)勝手に表彰し、今シーズンの私的まとめとしたいと思います。チーム、ヘッドコーチ、各ポジション、新人賞、コメンテーター、ベストゲーム、よかったこと、うんざりしたこと、の12部門について選考しました。部門はBURRNの真似ですが、一生懸命公平に選んだつもりです。では、まずチーム部門から。
各選手が強烈な個性と能力を持ちながら、それを出しすぎずに各々のやるべき仕事に専念したとき、このチームは恐ろしいまでの強さを発揮しました。対するチームはなんとかそれを崩そうと必死になり、いくつかの勝ち星を奪いましたが、最終的には原点に戻り全員がチームのために働いたアイシンが3つの栄冠を手にしました。本当に素晴らしいチームだと思います。3冠おめでとうございました。また、監督を含めアジア大会から約1年間休みもなくプレーしてきた選手の方々、本当にお疲れ様でした。
折茂選手、桜井選手、山田選手を失い大きく戦力を落としたトヨタですが、わずか13人の選手、190cmに満たない平均身長のチームで、どういう戦い方をするかロイブル監督は非常に頭を悩ませたと思います。その結果、激しいディフェンスをする、ボールを奪ったらとにかく走る、ハーフコートでは全員が常に動いてノーマークの選手を作り、できるだけ楽にシュートするという、美しささえ感じるスタイルを確立し、ファイナル5戦の最後まで選手に鞭を入れ続けて戦いぬきました。トヨタのゲームは見ていて本当に面白かったし勉強になりました。というわけで僕の中では今シーズンナンバーワンのHCです。
一体この人の体力はどこまで持つんだろうかというほど最後の最後まで走ったキャンベル選手。巧みなゲームメイク、先頭を走る選手にぴたりと合うタッチダウンパス、長いリーチを生かしたスティール、切れ味のあるドライブ、あ!と思った時には入れているアウトサイド、外から飛び込んでくるリバウンド、最後には痛みを抱える足を引きずってのプレー。すべてが見ている者へ感動を与えるプレーでした。今シーズン、僕の中で最も印象に残った選手(Most Impressed Player)です。
JR・ヘンダーソン選手の帰化、竹内公輔選手の加入によって、本来のポジションであろう2番・3番に戻ったバングラ選手の攻撃力は他に類を見ないものでした。このポジションの候補に他の選手が思いつかなくなるほどそのプレーは強烈で、崩れたチームを何度も救いました。
33歳の年齢になった今でも凄味を増し、最終戦まで大きな故障をすることなくプレーしたということが尊敬に値します。オバノン選手の凄さを語ること自体が野暮なような気がするので、これくらいにしておきます。
ゴール下に竹内選手がいることは、相手チームにとって相当なプレッシャーになったことは間違いありません。ブロックショットリーグ1位、リバウンド6位(譲治選手と全く同じ比率というのが驚きですが)という、自分の仕事をきっちりとこなした上に3ポイントも決めるなど、ルーキーということを除いても素晴らしい働きをしたことは評価に値すると思います。
エスティル選手のプレーは衝撃でしたね。フォワードの動きもできるセンター、というのがここ最近のトレンドになっていたかと思いますが、あれだけゴール下に特化し活躍した選手は久しぶりに見ました。個人ランキングで3部門制覇、1部門2位という偉業を成し遂げただけでなく、ホーキンス選手をアシストランキング1位に押し上げるなど、実質上の4部門制覇といえるでしょう。来シーズンからJBLで見れなくなることが本当に残念です。
シーズン初めから外国人選手を怪我で欠き、その穴埋めをしなければならなくなった竹内譲治選手。徳島アジア大会では3番から4番で使われることが多かったのですが、チームに帰ってきてからは5番の仕事もしなければならなくなるなど、彼にかかる重圧は想像を絶するものであったと思います。しかし、彼は負け続けても腐ることなく血のにじむような努力を重ねて、どこからでもシュートを打てる選手に進化しました。本当に素晴らしい。今後もますますの進化を期待しています。
プレーオフがレギュラーシーズンと全く違うということを見せつけた、セミファイナリストらしい素晴らしいゲームでした。4クォーター開始早々トヨタ岡田選手の3Pで20点差がついた時には、誰もが「波乱は無しだ」と思ったことでしょう。ところがその直後、OSGは川村選手の3Pで喰らいつき、さらにエスティル選手のゴール下とアウトサイドシューター達の得点で次々に加点。残り2分37秒には朝山選手のアシストから川村選手の3Pでついに逆転し、場内は爆発的興奮状態に。しかし冷静さを失わないトヨタ渡辺選手がそこから9得点し流れを引き戻すという、まさに殴り合いのような激しいゲームとなり、非常に見ごたえがありました。特に朝山と川村が体をぶつけ合って喜びを表現したときにはグッときましたね。いやー、あの瞬間は絶対に写真に収めたかったなあ。
山崎氏の解説は、ここでこういうことをされてはいけない、ここではこういうことに気をつけなくてはいけない、といった局面局面に沿ったもので、頷くことも多ければ勉強になることもたくさんありました。節政選手の解説は非常に聞き取り易く、その内容も彼がスカウティングをしっかりとやっていることを窺い知ることのできる、とても素晴らしいものでした。どちらを選ぶか相当迷いましたが、非常に勉強になり楽しく試合を観戦できたということと、あまりに的確なことを言って楠アナを黙らせた偉業を評して、山崎氏を選ばせていただきました。
NHKにそっぽを向かれて以来、JBLの中継放送は汚い画質のSKY-Aのみという、ほとんど暗黒の時代に救いの手を差し伸べてくれたのがTBSでした。てっきり世界バスケの低視聴率に嫌気がさしたものだと思っていましたが、世界バスケに続きベテランの清水大輔アナを起用したり、クレーンを使った映像を挿入するなどちゃんと力を入れてくれていたのがうれしかったですね。引き続き来シーズンも美しい映像と素晴らしい中継をお願いします。
レベルの高いゲームとは対照的にひどかったのがJBLの運営でした。3Pラインを踏んで打ったシュートが3点とコールされたり(ファイナル第3戦残り1分52秒)、誰もタイムアウトを取っていないのに2度もゲームが中断されたり(セミファイナル)、24秒バイオレーションとタイムアウトのブザーが間違って鳴らされたり、と数え上げたらキリがありません。おまけにHPの情報はいい加減で、試合結果の点数を間違えて掲載したり、試合開始時刻を間違えて掲載してこっそりと修正したり(お陰で2試合見損ねた)、もう本当にがっくりきましたね。チームや選手達は一生懸命やっているのだから、運営する側には気合を入れてやってもらいたいものです。
今シーズンはレギュラーシーズンもプレーオフも最後までもつれたからか、いい意味でとても長く感じたシーズンでした。終わってしまうのはとても寂しいのですが、どこかでホッとしている自分もいるわけで、VARDIAに録り貯めた中継番組を編集しながらせっせとDVDに落とす日々を送っています。JBLネタはしばらく書くことがないなーと思っていたのですが、選手の引退や大移動などがあるようで話題は尽きず、オフシーズンになってもまだまだゆっくりできません。うーむ。