4月10日に大阪で行われた、JBLプレーオフセミファイナル第3戦、パナソニック対アイシンのゲームを観戦してきた。日曜のセミファイナル第2戦でパナソニック(以下パナ)が勝利して、急きょ行われたホームゲームに、チケット発売開始時刻前から長い行列ができていた。アイシンの応援団も愛知から駆け付けた。
■第1ピリオド
パナ青野にマッチアップしたのはヤング。第2戦で11本のリバウンドを取ったビッグセンター青野に対し、パワーで対抗しリバウンドを取らせない作戦なのだろう。外国人選手の誰もが嫌がる青野とのマッチアップだが、ヤングは体を張って青野を抑えていた。後にこのプレーがパナを追い詰めていくことになる。
ゲーム前から表情の硬いアイシンは、序盤から桜木が連続でシュートを落とす。シーズンMVP選手の桜木が連続でシュートを落とすことは、パナに安心感をもたらしたかもしれない。対するパナは青野と渡邉のシュートでリズムをつかむ。パナのホームということもあり、得点が入る度に大歓声が起こる。
アイシンは一瞬の隙をついて柏木がジャンプショットを決め、点差を少しでも広げたいパナを逃がさない。第1ピリオド残り20秒、ゴール下で奮起したヤングのダンクで追いついたが、オバノン得意の左フックレイアップでリードを奪い返され、17-15のパナ2点リードで1P終了。このときは拮抗した良いゲームになるものと思っていた。
■第2ピリオド
しかし、第2ピリオドになってアイシンがヤングに代えてリチャードソンを入れたことにより、ゲームは一変する。青野のディフェンスが離れた桜木はすぐさま連続でジャンプショットを決める。さらにパナはファウルを連続でコールされ、残り3分24秒には5ファウルに重ねてしまった。ここでパナは集中を切らしてしまい、以降はレフェリーへのアピールが増えるなど荒れたゲームになっていく。
この日のレフェリーは、プレーオフということで特別なのか、ZAMOJSKIさんという外国人の方が主審だった。ZAMOJSKIさんの笛はとにかくハンドチェックに対して厳しかった。ディフェンスの手を掃ったところでオフェンスファウルを吹かれることが多く、これがパナの集中力を切らせていたように見える。パナソニックはどちらかというとプレーが荒いチームだが、JBLのレギュラーシーズンではこういうファウルはあまり取られないので、そういった違いが余計にパナソニックを苦しめていたように見えた。
相手チームの落ち着きがなくなると、どんどん冷静になっていくのがアイシンの恐ろしいところだ。フラストレーションが溜まり、動きが鈍くなったパナソニックに対して、スペースを広く使ってボールを回し、相手を疲れさせて動きを止めて落ち着いてシュートを決める。パナソニックはファウルを気にしたのか消耗したのか、本来の走るプレーができなくなり、完全にアイシンのプレースタイルに合わせてしまっていた。
桜木をマークする青野は、第2ピリオド序盤のミドルショットを警戒して早めに寄せるようになっていた。前半の殆どはポストプレーに徹していた桜木だったが、青野の体力が落ちたことを見計らってか、第2ピリオド残り20秒、ゴール方向にドライブして両足で着地し、遅れてきた青野とオバノンをフェイクで飛ばしてからワンステップ入れて、ゴール下のジャンプショットを決める余裕を見せた。流石というしかないプレーだった。
気付けば27-46と、前半はアイシンの19点差で終わった。ロッカーへ戻るパナの選手達の表情には、疲労とフラストレーションが見てとれた。
後編に続く