昨日に続いて、滋賀県大津市での東芝日立戦を見に行ってきた。今日は95対84で勝利。ものすごく長く感じたゲームだった。

昨日は試合内容が悪かっただけに選手のムードは暗かったようだが、今日は試合前から笑顔が見えて少しホッとした気分になった。ウォーミングアップでは伊藤や板倉のダンクに会場が沸く。雰囲気は決して悪くない。対する日立は心なしか固い雰囲気なのが意外だった。

試合が始まって驚いた。昨日はシーンと静まり返り、練習試合のような会場だったのだが、今日は2階からディフェンスコールと東芝コールが鳴り響いてきたのだ。声を張り上げているのはバンバンスティックを持った地元の女子高生達。やがて会場全体を包んだ応援が力付けたのか選手達は良く走り回り、序盤から北、佐藤、クラインシュミットのシュートが面白いように決まった。

しかし今日もジャッジは偏っており、選手のフラストレーションは次第に大きくなっていった。どうも橋本、宮武、玉木の3レフェリーはディフェンスファウルをコールするのが好きなようで、オフェンスファウルはあまり取る気がないらしい。日立のテイトが何度かゴール付近でスリップし転倒した際も、ドライブで突っ込んできた日立のプレーヤーに、立っていただけの東芝の選手が倒された際も、コールされたのは東芝のディフェンスファウルだった。

昨日に続き怒りが爆発してしまったクラインシュミットは、3Qに約3分を残して退場させられてしまった。理由については主審がマイクでアナウンスしたものの、何を言っているのか良く聞こえなかった。もしかしたら暴言を吐いたのかもしれない。僕の心臓はものすごく高鳴ってきた。リードしているとはいえまだ3Qの途中。日本人だけでフルメンバーの日立相手に残り13分戦えるのだろうか。

しかしここからの東芝は本当にすごかった。外国人選手のいない日本人だけのチームでゾーンを引き、お互いに声を掛け合って気迫のディフェンスを展開した。このゾーンが功を奏し、日立はボールを回すもののなかなかシュートを打てなくなってしまった。会場のボルテージは最高潮まで高まり、東芝コール、日立コール、ディフェンスコールが渦巻いていた。

怒涛のディフェンス、執念のリバウンドでボールを奪った東芝はコートを走り回り、外から中から北、宋、節政が次々に得点を重ねた。何とか東芝のゾーンを崩したい日立は五十嵐の3Pなどで追いすがろうとするが単発で終わってしまい、バレルのアウトサイドシュートはことごとくリングに嫌われた。もう一人の外国人選手、テイトはまったく機能していなかった。

東芝の勢いが衰えないまま4Qも終盤に差し掛かり、日立はオールコートでの激しいプレスを仕掛けた。何度かパスミスを誘い得点に繋げたものの、節政のドリブルがディフェンスを縦に切り裂き、北、折腹、宋が上手くボールを回し、ファウルアウトした宋に代わった板倉もシュートを沈めて、結果11点差で東芝が逃げ切った。

クラインシュミットが退場になってからの東芝の粘りは本当に凄かった。コートにいる5人、ベンチの選手達、スタッフ、そして会場で応援しているファンがひとつになっていた。僕は昨シーズンのファイナル以上の興奮を覚えて胸が熱くなり、涙が出てきそうになった。これが日本のトッププレーヤーだ。これがチャンピオンのバスケットだ。これだから東芝のファンはやめられないのだ。

大歓声鳴り響く体育館の隅で、クラインシュミットは退場後もドアの隙間から試合を見続けていた。一丸となって日立を粉砕した日本人プレーヤー達を見て、彼は何を思っただろうか。

ともあれ東芝は今日の試合で、昨日の悪い雰囲気を払拭することに成功しただろう。次のOSG戦にはまた、日本人選手と外国人選手が一丸となってプレーしてくれることを僕は信じている。なぜなら、優勝するには何が必要であるかを一番良く知っているのは、他ならぬ彼らだからだ。

試合後、ファンにもみくちゃにされながらバスに乗り込む選手達の姿があった。その中で一人のおばさんが北に「私、もー本当に感動しました!!」と興奮気味に語っていた。そう、今日この試合を見れた観客は本当に幸運だった。これからもスコアやレポートでは見えない感動が会場で繰り広げられるに違いない。期待は膨らむばかりだ。