12月19日と20日のパナソニック対東芝の試合を見に行ってきたので以下にレポートします。
両日ともにパナソニックの一方的なゲームで、試合の流れについて書いても読むのがつまらないと思いますので、それぞれのチームの印象に残ったところを書いていきます。まずはパナソニックから。
■チームワークが素晴らしい
パナソニックにはオフェンスの基本パターンがいくつかあるのですが、必ずそのパターンで攻撃するという決まりがあるわけではなく、ボールを受けた選手は積極的に攻撃してきます。彼らのオフェンスが素晴らしいのは、たとえそこでヘルプディフェンスが来たとしても、必ずパスを出せる選手がどこかにいるので、決して手詰まりにならないということです。
1試合目では、木下がドライブを仕掛ける→ゴール下の選手がヘルプに入る→ディフェンスが収縮しアウトサイドにパス→外で待っていた選手が3Pシュート、という流れが非常に多かったと思います。2試合目では外も警戒した東芝のディフェンスを意識してか、ゴール下の合わせが多くなったと思います。
全員がよく動いてスペースを作っていることと、ボール離れが非常にいいこと、強靭な体を使ったスクリーンプレーを使ってフリーの選手を積極的に作っていること、合わせに積極的に入っていることなど、チームとしてのオフェンスが完成されていると感じました。清水監督の特訓の賜物でしょう。
ディフェンスにおいては、汚いと言ってしまってもいいくらいの激しいプレーが多かったです。しかしいくら汚くてもレフェリーが見ていなければファウルにならないので、それを見せないというのは上手いなと感じました。とにかく勝てば官軍ですからね。
■木下選手絶好調
僕の元チームメイトが木下選手の先輩ということで、練習にも遊びに来てくださったことがあったので(僕はその時休んでいましたが)、彼がJBLデビューする前から注目していました。直接お話したことはないのですが、とても温厚で礼儀正しい選手だといろいろな方面から聞いています。しかしゲームになると勝気な面が出て、しばしば対戦相手の選手に喰ってかかる事もあったようです。
その彼が冷静なPGになったのは、結婚されてお子さんが産まれた頃からでしょうか。勝気な面を持ちながらも冷静にチームをコントロールし、持ち前のスピードを活かしながら自分も周囲も得点出来る状況を作り上げる、素晴らしいPGに成長しています。
この東芝戦では石崎や宮永のディフェンスをあざ笑うかのように抜き去ってパスアウトしたり、スペースが出来るとジャンプ力を活かして打点の高いジャンプシュートを決めていました。悪い流れを断ち切るのも上手く、2試合目で顔を負傷したというのも演技なのでは?と勘ぐってしまうほどでした。これほど調子のいい選手がなぜ東アジア大会の代表に選ばれなかったのか不思議です。
大阪で2連勝することで、石崎には昨年の借りを返した形になった木下ですが、アイシンの柏木や日立の佐藤とはどう戦うのか興味がありますね。
続いて東芝。
■チームワークが・・・
まず最初に言いたいのは、ボール回しが遅すぎます。全員が動きながらボールを回すという形には程遠く、パスが出る→動いてパスを受ける→止まる→パスを出すの繰り返しなので、ディフェンスが非常に楽です。それに全員が動きを把握していません。息も合っていないのでパスミスなどのターンノーバーが増え、ますます動きが悪くなります。一緒に見に行っていたミニバスをやっている女の子(JBL初観戦)が、「(攻守の)切り替えが遅いなー」と言ってました。
選手とボールが良く動いてディフェンスに的を絞らせないようにしないと、強い相手には勝てません。にもかかわらず、個人技で攻撃しようとする選手が多すぎます。ほとんどディフェンスをしない三菱相手ならともかく、チームで守ってくる日立やパナソニック相手には通用しないということに気づく必要があるでしょう。
ベンチがいくら的確に指示しても、コート上の選手達がそのとおりにプレーしなければ意味がありません。田中HCは選手の判断ミスで負けても自分の指示ミスだと言ってしまうほど優しい方ですが、時には清水監督のように怒鳴りつけるくらいのことをしてもいいんじゃないのかと思いました。
■石崎がおかしい?
11月の日立戦の時から気になっていたのですが、石崎がPGとしてゲームをコントロールすることよりも、自ら得点することに固執しているように見えます。さあ一本確実に取ろうという場面でも、ボールを運んだかと思えば誰にもパスせずにシュートして、外れて攻撃終わり、という場面が何度も見られました。チームで攻めるというより、一人で攻撃しているように見えます。
もともと石崎は攻撃型PGということもあり、あまりボール離れが良い方ではなかったのですが、宮永と同時にコートに立ち2ガードとなったことでそれが顕著に出てきているのかもしれません。心配なのはチームメイトがそのことをどう感じているかということです。
2試合目でヴァイオレットが、目の前でボールを要求する石崎にパスせず、遠くにいる宮永にパスしていた場面がありました。まるでお前がゲームメイクしろと言わんばかりに。東芝は後半戦が始まる前に一度ミーティングをして、傷が深くなる前に方向性を確認しておいた方がいいかもしれません。
■宇田選手に期待
昨年はほとんど出場機会のなかった宇田選手ですが、今年はプレータイムを増やしています。積極的にゴールに向かう姿勢が素晴らしく、彼がコートにいるだけでリズムが良くなります。パナソニック戦では、あの怪物達がひしめくゴール下をくぐり抜けてのダンクにもトライしていました(失敗していましたが)。いまどきバックパスをするような信じられないミスもやらかしますが、めげずに元気のいいプレーを見せて欲しいと思います。何しろ東芝に攻撃リズムをもたらす唯一の選手なのですから。
来年1月に行われるオールジャパンでは、決勝まで残らないと対戦する可能性のない両チームですが、是非日本一をかけて戦って欲しいと思います。