9月14日と15日の2日間、松下電器体育館で行われた松下トライアンズVS東芝ブレイブサンダースの練習試合を観てきました。14日は85-72で松下が勝利、15日は76-66で東芝が勝利しました。今回はあくまで練習試合ということで特別試合内容には触れませんが、気付いたことを東芝側と松下側に分けてレポートしたいと思います。
まずは東芝側から。
■新人選手
石崎と菊池はいい選手ですね。石崎は新人ながらよく声を出してリードしていて、ミスをしても動じることなく冷静に修正できるあたりかなりの大物と見ました。スピードも技も持ってるし、視野も広いし、落ち着いて見ていられるガードだと思います。菊池はディフェンスをよくがんばり、速攻では先頭を突っ走る、よく動ける選手です。U-24代表コンビの石崎との息もぴったりで、1戦目にはタッチダウンパスからのレイアップを後半だけで3本決めていました。節政と北以来のスーパーコンビになる可能性を持っていると思います。
■外国人選手
グッドリバウンダーという触れ込みの新外国人選手のジャマール・スミスは、ゴール付近でのオフェンス能力は相当高いようです。ディフェンスに関しては、1戦目ではいい動きは出来ていませんでしたが、2戦目ではよくがんばりカスタスを抑えこんでいました。昨年のジャーメインと違ってしっかりディフェンスしてくれるので、今年は期待できると思いますね。ランディー・ホーカムも万全のようで、この二人のオフェンスはとにかく必見です。できるだけコートに近い場所で見ることをお勧めします。
■控え選手
昨シーズンから控えに回った北の出番はまだまだ減ることはなさそうです。ここぞというところでシュートを沈め、チームディフェンスが崩壊したときにも2人分、3人分守ることの出来る彼をサブとして使えることは、チームにとって心強いことでしょう。また、ベンチに節政が控えていることも相手チームには脅威になりそうです。しかし、東芝の控えメンバーはすごい選手が揃っていますね。これらの選手をベンチがどう起用するのか、シーズンインが非常に楽しみです。
次に松下。
■コミュニケーション
この練習試合は応援も無く、ベンチやコート上の声もよく聞こえました。その中で気付いたのは、松下のコミュニケーションの良さです。先輩も後輩も、日本人も外国人も、通訳を含めたスタッフも選手もベンチも、皆が良く会話をしていました。会話の中には冗談もあり、叱責もあり、謝罪もあり、コート上でもコート外でもよくコミュニケーションが取れていていい雰囲気を持っていました。
■移籍選手の活躍
今シーズン松下は、全日本でも活躍した山田と元日本代表の大野を獲得しました。1番から3番(4番?)までこなせるガードフォワードと、3番から5番までこなせるセンターフォワードを獲得できたことは、松下にとって確実に大きな補強になりました。練習試合では二人ともチームに良く溶け込んでいいプレーをしていましたね。これはチームと移籍選手双方の努力があったからだと想像できます。
■エイドリアン・カスタス
1戦目の前半、松下の速攻でカスタスのパスが強すぎて大野がファンブルしたシーンがありました。すると前半終了時に、カスタスが通訳を呼んで「(自分のパスが)強すぎた。悪かった。」と大野に謝罪の気持ちを伝えていました。ざっくばらんな雰囲気の中では通訳を交えることも無く日本人とも会話し、重要な内容は通訳を通して正確に意思を伝えるという、積極的にコミュニケーションを取ろうとしていた彼の姿勢に非常に感心しました。ポイントゲッターでありリーダーであり、チームの人気者になった彼を獲得できたことは、松下にはとてもいい買い物になったことは間違いないでしょう。
■清水監督
清水監督のコーチングを拝見しましたが、やはりシンプルで分かりやすくていいですね。ものすごく基本的なことを中心に、何かあるたびに逐一選手に指導されていました。選手達はアドバイスされることを少しずつ実践することで自信をつけているように見えましたね。また、同じミスを何度も犯した選手には全員の前で厳しく叱り飛ばし、10点差以上をつけて残り時間1分30秒という場面でも怠慢なプレーをしている選手がいればすぐにタイムアウトを取って指導されるという、部活の監督のような存在でしたね。心身共に手を抜かずに厳しく指導される姿を見て、実は日本人の中では最も日本代表監督に相応しい方なのではないかと感じました。
最後にその他。
■控え選手同士のゲーム
第1戦が終わった後、数分おいて両チームの控え選手同士のミニゲームが行われました。トップレベルの日本人選手同士のゲームはとても見ごたえがありましたね。仕事の都合で最後まで見れなかったことが本当に残念です。途中まで見た限りではやや東芝が優勢のようでした。
■ティロ・キレット
キレット選手はベンチには入っていましたが2戦とも試合には出ていませんでした。どうでもいいことですが、今年は髪形がオールバックになっていましたので別人かと思いました。
■松下電器スタッフの気配り
今年の練習ゲームは体育館の端で行われ観客席は2階のみだったので、土曜日の2戦目は観客席がいっぱいになってしまいました。すると松下電器のスタッフの方が、急遽コートサイドにパイプ椅子を置いて観客席を作ってくださいました。僕もコートサイドに降りて観戦させていただいたのですが、子供達が余った体育館のスペースを大喜びで走り回って遊ぶので、妻と交代で試合観戦することになってしまいました。それはともかく、松下電器のスタッフの方々はファンを大切にしておられ、いつもこういう気配りをしてくださるので非常に感謝しています。
■チャレンジカップ第1戦
チャレンジカップ第1戦のBOXスコアを見ました。東芝のスターターは多分変わりないと思いますが、松下は大幅に変わっていましたね。練習試合の時は阿部が1番をやっていましたが、チャレンジカップでは永山でしょうか。キレットも出場していたようです。木下、阿部、佐藤というPG登録選手の出番が少ないということは、大型化を狙ったかオールラウンダーを複数使うことで的を絞らせない作戦に出たのかもしれません。いずれにせよ今年の松下は要注目です。
明日はチャレンジカップ第2戦ですね。平均年齢が(推定)最高齢ながらオンザコート3も可能なアイシン対、ほとんどが20歳代と若さあふれる東芝の対戦、契約選手獲得で大型補強した松下対、小型化しながらも機動力とベンチワークで勝負するトヨタの対戦、どちらも要注目です。見に行きたかった・・・