ピヴォットはボールを守るための動作と考えられがちですが、本来はディフェンスを崩して次の動作に移るための手段です。次の動作に移る過程において、ボールを奪われないようにしっかりと体でボールを守り、ピヴォットフットを軸にフリーフットでステップを踏んで、「ディフェンスを崩す」という意識が必要です。
僕はピヴォットには、「攻めのピヴォット」と「逃げのピヴォット」があると考えています。
例えばパスを受けてボールを持った時は、シュート、ドリブル、パスの3つのオプションを選択できます。ここでのピヴォットは攻撃を開始する前のピヴォットなので、これを「攻めのピヴォット」とします。
逆に、ドリブルが止まってその場から動けなくなってしまった場合は、パスかシュートしかオプションがなくなります。すると、味方にパスを出すかシュートするまではボールを守らなければなりません。ディフェンスから逃げながらボールを守るので、これを「逃げのピヴォット」とします。
まずこの二つを理解して、今自分は「攻めのピヴォット」をするべきなのか、「逃げのピヴォット」をするべきなのかを判断しましょう。
■ 攻めのピヴォット
「攻めのピヴォット」をする場合、ドリブルできるという大きなメリットがあるので、ディフェンスではなく自分にアドバンテージがあります。ドリブルで動くこともできるとなると、ディフェンスが後手になるからです。
しかし多くのミニバス選手は、このアドバンテージに気付いていないと思われます。自分の方が優位な立場であるとわかっていないから焦ってしまい、落ち着いてボールキープできず、ターンノーバーに繋がってしまいます。
ディフェンスがタイトについてきている場合、さらにボールマンが優位になります。なぜなら、タイトにつかれている時の方がディフェンスを抜きやすいからです。
ディフェンスの足元、できれば前足の外側に大きくフリーフットでクロスステップし、同時に大きくボールを出して物凄く低いドリブルを突いてみましょう。ダブルチームされた場合は、2人のディフェンスの間を割って大きくクロスステップし、物凄く低くボールを突きだしてみましょう。たったの一歩でディフェンスを置き去りにできることがわかるはずです。
ディフェンスを抜いてしまえばこっちのものです。置き去りにしたディフェンスが多ければ多いほど、数的優位に立てます。後はドリブルとパスを使いながらゴールに向かい、ディフェンスが戻る前にシュートで終わればいいだけです。
■ 逃げのピヴォット
「逃げのピヴォット」でも、ステップを使ってディフェンスを崩すことに変わりはありません。しっかりとボールを守りながらステップでディフェンスを割れば、シュートまでいくことも可能です。東芝ブレイブサンダース神奈川の北卓也HCは現役時代、よくダブルチームの隙間からステップで出て、片足でシュートを決めていました。
以下の写真はアイシン・シーホースのセンター、ケビン・ヤング選手のプレーです。激しいダブルチームに合いながらもしっかりとボールを守り、ディフェンスの間を割って突破しています。
「逃げのピヴォット」で特に気を付けないといけないのは、ボールをディフェンスから遠い場所で力強くキープして、しっかりと守ることです。決してディフェンスが触れるようなところに出してはいけません。
ボールマン以外のオフェンスの選手は、味方が「逃げのピヴォット」に入ったらすぐにボールを貰いに行ってあげましょう。そのためにも、ボールマンにボール運びを任せきりにするのではなく、常にチーム全員でボールを運ぶという意識が必要です。
■ どうしてもピヴォットできないときには
ディフェンスにあまりにもタイトにつかれて動くスペースさえないときでも慌てる必要はありません。自分の肩でディフェンスを「よいしょ」と押してスペースを広げましょう。くれぐれも突き飛ばしてはいけません。ファウルを取られてしまいます。
ディフェンスを肩で押しながら大きくステップし、元の位置に戻ればスペースが開くので、動きやすくなるはずです。
それもできないときにはボールをキープしたまま5秒ルールの笛が吹かれるまで待ちましょう。相手スローインになりますが、体制を整え直すことができるので、苦し紛れのパスを出してカットされるよりはずっとマシです。
ちなみに、ディフェンスの足にボールをぶつけてコート外に出すのはミニバスでは禁止されています。しかしファウルにはならず相手ボールになるだけなので、最後の手段として使うこともできるのかできないのか、それはわかりませんですごめんなさい。
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