step
先日、次女のピティナ・ピアノステップに付き添ってきました。ピアノステップは、PTNA(一般社団法人全日本ピアノ指導者協会)が主催する、ステージ体験の場。発表会に近いもので、舞台で演奏する体験ができるとともに、PTNA所属の先生方の講評を頂くこともできます。

ステージ体験の場とする人もいれば、コンペティション前の準備として参加する人もいます。次女は今年のコンペからB級になり、選択課題曲のレベルもぐっと上がったこともあって、早めの準備として参加しました。

はっきり言ってたかをくくっていました。予選は5月半ばから7月の終わりまで続きます。5月初めのこの時点で、予選の2曲を仕上げている子なんてそうそういないだろう、ステップで弾く子も殆どいないだろうと思ってました。

ところが蓋を開けてみると、コンペ課題曲を演奏をする子がたくさんいました。中には予選の2曲だけでなく本選の2曲まで仕上げている子もいて驚愕しました。準備の為に参加したつもりが、いきなり戦場に放り込まれた気分でした。そういえば、2年連続で全国金賞を受賞した同じ教室の子も、早くに本選の曲まで仕上げていたなあと思いだしました。

周りの子のレベルの高い演奏を聴いて次女も驚いたのでしょう。スタンバイの位置で背中がどんどん丸くなっていき、表情がみるみる曇っていきます。「アカン時の顔」になっていました。客席から必死で変顔を送るもこちらを見てくれません。

順番が来てステージで足台をセッティングすると、「いつもと高さが違う」と言われました。ペダルがちゃんと踏めないようです。とはいっても、もう足台をバラバラにして組みなおすこともできず、「今日はこれで弾きなさい」と無茶を押し付けました。

演奏が始まりました。固い、固すぎる。バロックの曲のノートが伸びず、短くなってしまっています。近代の曲になるとテンポがどんどん速くなってしまい、暴れ馬のようになっています。のだめのコンクールのシーンを思い出しました。べーべちゃんそのものでした。

ミスタッチもありましたが、なんとか最後まで弾き終わって次女が客席に帰ってきました。すかさずピアノバッグからハンカチを取り出し号泣です。過去にもメタメタの演奏になってしまい号泣するということが何度もありましたが、今回は特にショックが大きかったようです。

他の子の演奏が続いていきます。中には自分が本選で弾く課題曲2曲をほぼ完璧に仕上げている子もおり、それを聞いてまた号泣です。ハンカチが本気で絞れるんじゃないかと思いました。

全ての演奏が終わって、アドバイザーの先生の講評を頂きました。この講評に胸を打たれ、危うく泣いてしまいそうになりました。最近はレッスンに付き合うことができないこともあり、間違えずに弾くための練習ばかり押し付けて、1音を大切にするという基本的なことをすっかり忘れていたことに気付きました。この講評を聞けただけでも、本当に来てよかったと思いました。

帰りに3人のアドバイザーの先生方が手書きしてくださった講評を頂きました。3人の先生方が”Great”をくださいました。良いところは褒めてくださり、直すべきところは指摘してくださるこの講評に、いつも心が救われます。

いつものごとく、泣くのを通り越して悪態をつきまくっている次女をコンビニに連れて行き、車の中でアイスを食べました。「ママが(長女の)誕生日ケーキを買ってきてって言ってるわ」というと、ようやく笑顔が見られるようになりました。

今年もまた、コンペに向けた特訓で地獄のような夏になるんだろうなと思うと、少し気が遠くなった日曜日でした。