【JBL観戦記】 プレーオフファイナル アイシンvs東芝

4月20日と21日に代々木第二体育館で行われた、JBLプレーオフファイナル第3戦、第4戦を観て来ました。両ゲームともにファイナルにふさわしい好ゲームでした。
■ゲーム3
ゲーム3序盤、東芝はママドゥが連続でファウルしてしまい、わずか2分で桑原と交代しました。アイシンはインサイドアウトが機能し、アウトサイドシュートが良く入っていました。
東芝は、第2ピリオドからディフェンスを強化して、アイシンのターンノーバーやリバウンドから速攻を出しますが、アイシンはこれを3度に渡ってファウルで止めます。これがアンスポーツマンライクファウルを取られないばかりか、逆に辻がファウルで止めたときには東芝がアンスポを宣告されて、北HCの怒りは頂点に達したように見えました。
ここが逆転劇へのきっかけだったと思います。ゲーム開始前には穏やかで笑みさえ見られた北HCの表情が一変して、怒りモードに入ったことで、東芝の選手に気合が注入された気がしました。
40-32の8点アイシンリードで始まった後半、東芝はまたもママドゥがファウルして1分も経たないうちに交代しました。しかしファジーカスが奮起して逆転に成功。アイシンは東芝のディフェンスが厳しくなったことで不要なファウルが増え、オフェンスが波に乗れません。
第4ピリオド残り7分23秒、東芝はついに3ファウルのママドゥをコートに戻します。執拗なディフェンスにあって疲れの見えるアイシンのインサイド陣はリバウンドが取れなくなり、加えてファウルが増えて東芝にフリースローを与えてしまいます。これをほぼ確実に沈めた東芝が最後に優位に立ち、67-74で勝利し優勝に王手をかけました
■ゲーム4
2勝1敗と王手をかけた東芝でしたが、疲労が溜まっているのかゲーム前の表情は非常に硬くなっていました。逆にアイシンの選手はベテランの余裕なのか、非常にリラックスしていました。
序盤、アイシンはゲーム3同様にファジーカスへのディフェンスとリバウンドをしっかりやることを意識していたと思います。それに対して東芝は、辻の3本の3ポイントシュートなどアウトサイドから得点し、15-22の東芝7点リードで第1ピリオドを終了します。
第2ピリオドに入ると、アイシンは前日全く良いところの無かったコーバイルがシュート、リバウンド、ブロックと奮起します。東芝は辻と栗原の3ポイントなどで取り返しますが、アイシンは前半終了間際にコーバイルがブザービーターを決めて食い下がり、チームを盛り上げて後半に望みを繋げます。
第3ピリオド、東芝は疲労からかディフェンスが甘くなります。アイシンはオフェンスで力をセーブしながら得点し、ディフェンスに力を注いで東芝の攻撃を封じ込めます。リズムをつかめない東芝はスティールからの速攻を仕掛けますが、アイシンはこれをファウルとブロックで徹底して阻止。一時はアイシンが11点リードしましたが、東芝は辻のアシストや終了間際の3ポイントで52-50の2点差まで詰め寄ります。
第4ピリオドに入ると、東芝は辻の3ポイントでついに逆転。ここから点の取り合いになるも、アイシンはタイムアウトを効果的に取り、流れをもっていかせません。リバウンドが取れなくなった東芝は、残り6分を切ってスターターをコートに戻して勝負に出ます。しかし、頼みの綱のファジーカスはコーバイルに押さえ込まれ、逆に桜木にジャンプショット、ダブルクラッチレイアップ、フリースロー、ジャンプショットと連続で得点され、一気に引き離されます。辻の3ポイントに望みを託した東芝でしたが要所で決めることができず、74-65でアイシンが勝利し逆王手をかけました。
JBLプレーオフはこれまで何度も観てきましたが、チケットが売り切れたと聞いたのは今年が初めてでした。会場は立ち見も出る超満員で、地元と言っても差し支えない東芝の応援が、会場の約7割を占めていました。しかしながら、アイシンの応援も決して負けてはおらず、むしろ応援の声量では東芝を上回っていたと思います。
今年は、ファイナルのゲームはJBL-TVと会場での観戦合わせて全て観ましたが、どれも非常に見ごたえのあるものでした。特に鈴木HCと北HCの采配合戦は、緊張感がヒリヒリと伝わってきて痺れました。しかしながらプレーするのはコート上に立っている選手たちです。結果的にアイシンの選手の経験が少し上回って優勝に繋がったのだと感じました。
アイシン鈴木HCは、柏木と橋本をタイムシェアして使っていましたが、これは柏木のパフォーマンスを上げさせる為だけではなかったと思います。2004-2005シーズンのプレーオフファイナル東芝戦で、佐古が試合中にアキレス腱を切って途中退場してしまったということがあったのですが、その反省から選手を酷使しすぎないということを徹底していたのだと思います。
東芝の選手たちには、肩を落とさず胸を張ってもらいたいと思います。東芝は1996-1997シーズンに初めてプレイオフに出場し、セミファイナルでトヨタに破れはしたものの、そこからプレーオフ常連チームになって、ついには2度の優勝に輝いたからです。今シーズンの優勝は逃してしまいましたが、ここで一気に優勝するよりもずっと大きなものを彼らは手に入れたと信じています。
ファイナル第5戦、残り14秒での柏木のフリースローが、1996-1997シーズンセミファイナル、東芝対トヨタの、納屋のフリースローに重なって見えました。そして、ここからが新生東芝の本当のスタートだと思いました。アイシンにも東芝にも、心からおめでとうと言いたいと思います。

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1件のコメント

  1. アイシンびいき

    第3戦、アイシン橋本選手のファウルはかなりきわどいものでしたね。
    東芝辻選手のアンスポは、「ボールマンの前方に誰もいない状況でのファウルはすべてアンスポ」というルールに明確に規定されたアンスポなのであの判定は間違いないものでした。
    全5戦会場で観ましたが、すべてが白熱した好ゲームで、大変興奮しました。
    こういうゲームがTV放送されないなんで、協会はだいぶサボってますね、

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