■1Q

序盤、滋賀はノーマークを作ってシュートを放つもなかなか決めることができず、オフェンスリバウンドを拾うもセカンドショットを決めきることができない。

対する京都もセットプレーを読まれてターンオーバーを連発し、無得点が続く。しかし中盤に入りスミスを中心に攻撃すると、ローポストではパワープレー、ハイポストではパスを供給して攻撃のリズムを作り、10-10と追い付くことに成功する。

京都は攻撃のリズムが良くなるとディフェンスも良くなり、タイトに守って滋賀の得点を封じ込める。滋賀はオープンのシュートが外れるものの、サンバとジョイスのタフショットでなんとかリードを保つ。

終盤に入ると京都は綿貫と片岡を投入。ベテラン二人が攻守でハッスルする京都に対し、滋賀は噛み合わない攻撃にフラストレーションを見せるサンバが、攻守で散漫な動きを見せてリズムを崩す。


1Q終了間際、京都はダブがフリースロー2本を外すも綿貫がリバウンドを抑え、晴山のスリーに繋げて15-16と逆転する。

■2Q

京都はローテーションからダブとスミスのハイローを作り、両サイドからインサイドを攻める。

アウトサイドシュートが入らない滋賀は、小林に代えて並里を投入するとパスが回り始め、長谷川のスリーで逆転、さらに速攻からフィッシャーのレイアップで24-20とする。すかさずタイムアウトを要求して立て直しを図る京都だが、攻撃が噛み合わず滋賀に速攻からの得点を許してしまう。

しかし残り5分、京都は伊藤を投入するとすぐにスミスからのバックドアで得点。さらにスミスからのパスを受けたダブがインサイドで得点し、26-24でオフィシャルタイムアウトに入る。

タイムアウト明け、滋賀がディフェンスをタイトにすると京都は伊藤以外のバックコート陣が機能しなくなってしまう。滋賀はこれに乗じて狩野が連続5得点、並里のスリー、速攻からのジョイスのレイアップで残り2分を切って一気に36-26と10点のリードを奪う。


前半2回目のタイムアウトを取った京都は、滋賀のゾーンディフェンスに対してスミスのインサイド攻撃で応戦。対する滋賀は、フィッシャーがスミスから3つ目のファウルをもぎ取って、バスケットカウント&1で加点し、39-28で前半を終える。ベンチへの去り際、ここまで何本かのシュートを落としている並里が悔しそうな表情を見せる。


■3Q

インサイドを攻める滋賀は、ファウルをもぎ取り狩野とサンバのフリースローで加点し43-30とリードを広げる。京都はダブのキックアウトから伊藤がフローターで得点するも後が続かず、開始2分を前にファウル3つのスミスをコートに戻す。

するとそのスミスがすぐにバスケットカウント&1を決める。果敢にインサイドにアタックする京都のオフェンスにファウルがかさむ滋賀は、並里が3つ目のファウルを犯してしまい横江を投入。しかしスミスと伊藤のトラジションの速い攻撃に滋賀はファウルがかさんでしまい、残り6分35秒にタイムアウトを要求する。

タイムアウト明け、滋賀は横江のコントロールからサンバとフィッシャーのハイローを作り、サンバがインサイドで得点。ようやくミスマッチを突いた攻撃が出始める。さらに速攻から横江がサンバにアシストし、自らもジャンプショットを決めて54-40と再び京都を突き放す。ここで京都がタイムアウトを要求。会場に「ヨコ」コールが響き渡る。

タイムアウト明け、京都がゾーンディフェンスを敷くと滋賀は攻めあぐね、長谷川の無理なドライブや横江のチャージングで攻撃のチャンスを失ってしまう。しかしその長谷川がディフェンスでハッスルし、綿貫を1対1で徹底的に抑え込み、24秒バイオレーションを奪って再び流れを引き戻す。


終盤に京都のゾーンにアジャストし始めた滋賀はボールを回し、サンバがフリースローやフェイダウェイで得点し点差を広げ、65-48の滋賀17点リードで3Qを終了する。しかし最終Q、京都の怒涛の追い上げが始まる。

■4Q

序盤、ダブのインサイド攻撃でリズムをつかんだ京都は、スミスにボールを集めて徹底的にインサイドを攻める。そのスミスは滋賀のフィッシャーから連続でファウルをもらい、フリースローをすべて沈めて得点を重ねる。さらに京都は内海のスリー、スミスのバスケットカウント&1で加点。71-64と7点差までじわじわと詰め寄る。

フィッシャーが4ファウルしても交代させず、10点を詰められても何故かタイムアウトを取らないベンチに対して、滋賀の選手たちはフラストレーションを露わにする。

残り3分半、京都は伊藤と岡田を投入。ボールの回りが良くなった京都は、ダブのアタックでフィッシャーを退場に追い込み、さらに片岡のシュートで残り2分半に73-71とついに1ポゼッション差まで迫る。

フィッシャーを失って攻め手が見つからない滋賀は、並里が早打ちのシュートを落とし、サンバが不要なファウルでスミスにフリースローを与える。スミスはこれを2本とも決めて73-73とし、残り2分、京都が同点に追いつく。

滋賀は返す刀で並里のジャンプショットで再びリードを奪うも、全く慌てない京都は、スミスからのインサイドアウトで岡田がバスケットカウントのスリーを決め、さらに&1も決めて75-77とし、残り1分25秒、ついに逆転に成功する。

滋賀はジョイスがフリースローを得るも2本とも落とし、せっかく並里が奪ったリバウンドも長谷川のバイオレーションで無効にされ、並里のドライブインにサンバもジョイスも気づかず合わせに入らない、など自ら招いた不運が重なり同点のチャンスをことごとく潰してしまう。



後半のタイムアウトを2つ残していた滋賀ベンチだったが、同点に追い付かれても逆転されてもなぜか要求せず、コート上の選手たちが目に見えて追い込まれていく。試合終了残り数秒まで並里が何度もシュートまで持ち込むが、リングに弾かれ無情にもゲームセット。17点ビハインドをひっくり返した京都が79-77で勝利した。

試合終了後、顔を真っ赤にして唇を噛みしめ、悔しそうな表情を見せる並里の背中に、2階席の一人の滋賀ファンから「並里辞めろ!」との心無い声が何度も浴びせられた。

2018年4月7日 ウカルちゃんアリーナ
PTS:スミス26、ダブ17、サンバ17、フィッシャー15
REB:ジョイス12、フィッシャー9、スミス9
AST:並里8、スミス6、伊藤5
STL:坂東2、狩野2
BST:スミス2、ジョイス2

会場を出た後、子供たちと食事をしていると、店に並里選手が入ってきた。試合中についたであろう額の傷が痛々しかった。彼は僕たちのすぐ近くのテーブルに腰を降ろし、一人で食事をしながら時折箸を止め、スマホで今日の試合を振り返っているようだった。憧れの選手の登場に喜ぶ子供たちに、「お食事の邪魔をしたらあかんで。ガンバレは心の中で言いなさい。」と言い聞かせて、そっと店を後にした。