■第1ピリオド

パーカーに続きリカートも左ふくらはぎの肉離れで欠場となった和歌山は、根来のジャンプショットで先制する。和歌山はハードなプレッシャーで東芝のミスを誘い攻撃に繋げるが、自身もパスカットされて速攻を出され、連続で得点を許す。

負ければ終わるファイナル第3戦の舞台で、恐らく初めてのスターティング構成となった和歌山は浮足立ち、パスミスを犯してしまう。しかし和歌山は、根来がしっかりとボックスアウトして木下にディフェンスリバウンドを取らせ、自身もオフェンスリバウンドを取ると徐々にリズムが出て、青野のリバウンドショットで4-4とする。しかしこのピリオド、和歌山の得点はここで終わることになる。

3戦連続で序盤をリードされるかと思われた東芝は、アウトサイドシュートが好調な辻の5連続得点で動きにリズムが生まれる。和歌山は木下がらしくない判断の躊躇をするようになると、東芝はママドゥがスティールやリバウンドで和歌山を精神的に追い込んでいく。

落ち着きを取り戻せない和歌山は、根来がゴール下のシュートを落として速攻を出されると、川村が篠山をファウルで止めてチームメイトに落ち着くようにとゼスチャーする。しかし和歌山は、オフェンスにおいて根来のポジションがどうしても中途半端になってパスを回せず、ディフェンスにおいてもマークが甘くなり、辻やファジーカスに確立の高いシュートを許す。

和歌山は残り3分36秒に17-4とされた所でタイムアウトを要求し、ディフェンスのプレッシャーを強化するが、東芝はそれをものともせず、辻と篠山の3Pシュートや裏を取ったボーズマンのゴール下などで内外バランス良く得点し、28-4の東芝24点リードで終了する。

■第2ピリオド

東芝は広くボールを回して山下の3Pシュートで先制。和歌山はインサイドの青野にボールを入れて連続でファウルを貰う。和歌山はハードにディフェンスのプレッシャーをかけ、久保田が激しく動き回って攻守のチャンスを作り、約10分ぶりのチームの得点を挙げる。

約3分間得点の止まった東芝は宇田を投入して打開を図るが、和歌山のディフェンスを崩し切れず、残り6分15秒にタイムアウトを要求する。タイムアウト明け和歌山は積極的にゴールへアタックし、東芝ディフェンスの視線を散らせてゴール下の青野へアシストする。攻撃のリズムが出始めた和歌山は、残り4分46秒に川村の初得点となる3Pシュートが入るが、ここでオフィシャルタイムアウトが入り、流れが切れてしまう。

このピリオド前半のタイムアウト以降、控えの日本人選手だけの構成にしていた東芝は、辻、ファジーカス、ママドゥをコートに戻し、さらに残り4分を切って篠山を戻す。するとチームにリズムが戻り、ファジーカスがようやくこのピリオド和歌山とタイとなる9点目を入れる。

さらにファジーカスはリバウンドから宇田へタッチダウンパスを通し、宇田のレイアップで残り2分28秒に39-13と点差を26に広げる。和歌山はシュートが落ち得点が2分半の間止まると、川村がドライブで切れ込んでファウルを貰い、フリースローで得点する。しかし疲れの見える和歌山は内海がファウルで流れを切ってしまい、東芝にルーズボールを取られて攻撃を繋げることができず、さらに疲弊してしまう。

東芝は宇田が攻撃を迷った久保田からスティールし、ママドゥの速攻からファジーカスの得点に繋げる。和歌山は青野がゴール下で連続ファウルを貰い、バスケットカウントとフリースローで加点して45-20とし、東芝25点リードで前半を終える。

■第3ピリオド

東芝はファジーカスがアウトサイドに出て青野のマークを外し、フリーでフローターショットを決める。和歌山は川村が速攻に走ってバスケットカウントワンスローで得点するが、東芝はすぐに辻が3Pシュートを入れ返す。木下が戻った和歌山は動きがアグレッシブになり、川村とボーズマンがお互いにスティールを繰り返してトラジションの速い展開になる。

疲れから呼吸の合わない和歌山は、久保田が裏を取ってフリーになるが気づいてもらえず、パスを貰った時にはタイミングがずれてファジーカスにブロックされてしまう。しかしこれを青野が捻じ込み、さらに青野のゴール下の粘りでファジーカスのファウルを誘う。和歌山は徹底的に青野を起点に攻め、永山と久保田のホットラインが通って久保田がゴール下で連続得点する。対する東芝は、コートを広く使ったボール回しで和歌山ディフェンスを動かし、ボーズマンが連続で3Pシュートを入れる。

中盤に入り両チーム共にシュートが落ち始め我慢の時間帯に入ると、東芝はボーズマンが連続で和歌山のパスをカットし、ファジーカスが川村と久保田のレイアップを叩き落す。ファジーカスとボーズマンが外に出てアウトサイドからの攻撃を繰り返していた東芝は、終盤に差し掛かるとファジーカスにインサイド攻撃させて久保田からファウルを貰い、フリースローで加点する。和歌山は木下のスティールから川村の速攻で得点するが、アウトサイドシュートが入らず苦しい展開が続く。

東芝は篠山のアシストからファジーカスのレイアップや辻の3Pシュートで集中力を欠くことなく確実に加点し、残り1分20秒に63-31と32点差を付ける。和歌山は青野が1ON1で得点し、ファウルを貰いフリースローで得点。点差は開いているものの非常に緊張感の高い好ゲームが続き、65-35の東芝30点リードでこのピリオドを終える。

■第4ピリオド

ボーズマンを下げて控えの日本人選手だけになった東芝に対し、和歌山は高い位置から東芝にプレッシャーをかけ、中務がパスカットして速攻で得点する。東芝はこれに面食らい、パスミスでターンノーバーしてしまうと開始2分足らずでタイムアウトを取り、北HCが選手を激しく叱責する。

タイムアウト明けも和歌山のリズムは変わらず、速いパス回しで東芝のディフェンスを動かして川村が得点する。さらにマッチアップゾーンで東芝のミスを誘い、攻めては青野を起点に阿部のジャンプショットや中務への合わせで得点を重ね、開始3分半で65-45と点差を20に縮める。

PGが一人、SFが3人、PFが一人の東芝は高さで圧倒的に不利になり、インサイドにポイントを置くことができず、外からのシュートは入らずリバウンドを取ることもできない。和歌山は中務のジャンプショットも決まり、65-47の18点差に縮めてオフィシャルタイムアウトに入る。

オフィシャルタイムアウト明け、和歌山は速攻を出し川村がレイアップに飛ぶが、疲労がピークに達しているのかショートになり落ちる。東芝は鎌田に代えて、昨シーズンからの怪我で出場機会の少なかった勝又を投入。相撲部屋のスカウトを断る為にバスケットを始めたという勝又は、青野をしっかりとボックスアウトしてリバウンドを取らせない。

東芝は栗原の3Pシュートや勝又のフリースローで加点するが、和歌山は阿部の3Pシュートやスティールからの川村のレイアップで69-52とし、一時期30あった点差を17にまで縮める。しかし激しいディフェンスゆえのファウルが増え、5ファウルを超えて東芝にフリースローを与えてしまう。残り2分を切り、東芝は篠山、辻、栗原、ママドゥ、ファジーカスをコートに戻すと早々に栗原のバックドアで得点。1分半を切ると和歌山は、今シーズン限りでの引退を表明している永山を投入する。

東芝は辻の3Pシュートやファジーカスのダンクで得点し、和歌山は永山のフローターレイアップで加点。最後は永山の現役最後の3Pシュートが入って両チーム共に歓声に包まれ、東芝が78-61とプレイオフ5連勝で優勝を飾った。

PTS:ファジーカス25、辻20、川村16、青野15
REB:ファジーカス11、青野13
AST:ボーズマン4、篠山4、ファジーカス4、安部4
BLK:ファジーカス4
STL:ボーズマン3、ファジーカス3、川村3、根来3